今月のことば

私のあたまに つのがあった

つきあたって 折れて

わかった

(榎本 栄一)


 一月があっという間に駆け抜けていきました。

 お寺だけでなく、多くの行事が中止になったためか、メリハリもなく時間が過ぎていくようです。

 ステイホームの日々の中、時間はたっぷりあるはずなのに、面倒な作業はついつい後回し、そればかりか口からでるのは愚痴ばかり。世の中も自分も思い通りいかなくて、なんだか心がすっきりしません。

 そんな時に「私の頭にツノがあった 突き当たって折れてわかった」と、一面の言葉に出会いました。

 さて、鬼には各地に様々な言い伝えがあります。一説には、鬼は鬼門すなわち丑寅(うしとら)の方角からやってくるので、牛のようにツノがあって、虎の牙(あるいは虎のパンツ)を持っているとのことです。そして豆で退治するのは、魔滅(まめ)魔が滅するという語呂合わせもあるようです。

 しかし「私の頭にツノがあった」と言われてしまっては、魔滅(まめ 豆)をまいて「鬼が外」とは言えません。愚痴という牙であちこちに噛みつき、いらいらしている私が一番に追い出されそうです。

 どうでしょう「何を焦ってる?」と、私のツノを折り「鬼になっていないか」と励ましてくださる、はたらきを仏様というのでしょうね。 

住職 拝


以速寺通信2102 編集後期から